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何か分からないまま手術台に 強制不妊手術問題、実態解明へ課題

「一つ一つの生々しい証言を見過ごせない。国はろう者の社会資源を充実させる施策を進めるべき」と手話で語る石野理事長(12日午後0時9分、東京都千代田区・厚生労働省)
「一つ一つの生々しい証言を見過ごせない。国はろう者の社会資源を充実させる施策を進めるべき」と手話で語る石野理事長(12日午後0時9分、東京都千代田区・厚生労働省)

 全日本ろうあ連盟は12日の会見で、旧優生保護法下で聴覚障害者たちが何の手術か分からないまま、家族やろう学校関係者ら身近な人から不妊手術を強制されていた事実を明らかにした。これまで「タブー」とされた究極のプライバシーに関わるだけに調査が難航しているといい、強制不妊手術問題で被害実態の全容解明が進まない理由の一端も浮かび上がった。

 連盟は、被害者が京都など22道府県の男女128人とする10月末時点の調査結果を公表した。「家族や親戚、学校関係者から手術を勧められた人が非常に多かった」と連盟委員会の吉野幸代副委員長は振り返る。不妊手術を条件に結婚を許された人がいる。「盲腸の手術だから」とうそを信じて手術台に上がった人もいる。

 連盟によると、1933年、当時の文部大臣が手話を禁止する通達を出した。ろう学校では、口の動きで言葉を読み取る口話教育が徹底された。今と違って手話通訳者制度がなく、法律でさまざまな権利を奪われた時代。「聞こえる人(健聴者)からかわいがられるように」との指導を親も受け入れた。「聞こえないことが不幸という優生思想が社会背景」(吉野さん)の中で手術は行われていった。

 判明した被害者数は氷山の一角だ。約1200人の連盟会員がいる東京都では、面談調査の前に送ったファクスに対し、9人しか返信しなかった。当時のつらく悲しい記憶がよみがえり、怒ってファクス用紙を捨てた人もいたという。

 滋賀県を含む11県の加盟団体は「未実施」と回答した。大竹浩司委員長(64)は「被害者は高齢で(救済を)急ぐ必要はあるが、調査は個人のプライバシーに踏み込む内容なのでスムーズに進まない」と困難さを強調する。さらに、連盟に所属しない聴覚障害者の被害を把握する方法はなく「今のままでは限界。国とともに被害調査の仕組みを考えられたら」と話した。

【 2018年11月13日 11時37分 】

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