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老犬24時間ケアや飼育の遺言 高齢化時代のペットサービス活況

老犬などを預かるシニアペットケアステーション。24時間体制でスタッフがケアする(京都市西京区)
老犬などを預かるシニアペットケアステーション。24時間体制でスタッフがケアする(京都市西京区)

 高齢化社会に合わせたペットにまつわるサービスが京滋で広がっている。老いたペットの介護施設やペットの信託相談に取り組む事業者、行き場をなくした動物の譲渡を支援する企業もあり、社会的な課題の解決に取り組んでいる。

 部屋の中で白衣姿のスタッフがイヌとボール遊びに興じる。隣の部屋では、別の小型犬の体調を細かくチェックしていた。

 京都市西京区の「シニアペットケアステーション」は、主に高齢の老犬を24時間体制でケアする介護施設だ。ペット向け総合サービスベンチャーのマイプレジャー(上京区)が昨年6月に開設した。

 事業のきっかけは、ペットの高齢化だ。獣医学やペットフードの進歩でペットが長寿化する一方、歩行や認知機能の衰えで「要介護」の老犬が増加。ペット預かりサービスもあるが、年齢制限がある施設が多く、「老犬の介護が空白地帯になっていた」(佐伯浩二専務)。

 診療所を改装した同施設は、老犬介護士の民間資格を持つスタッフら10人が交代で勤務する。犬種と介護度に応じた料金制で一時預かりや宿泊などを提供。動物病院と提携し、体調が急変した場合には送迎する。

 原優子施設長(50)は「老犬の介助だけでなく、夜鳴きや徘徊(はいかい)に悩む人も多い。飼い主も高齢で『老老介護』のケースや日中に世話できない現役世代のニーズは高い」と話す。

 日本ペットフード協会の昨年の調査では、家庭で飼うイヌの平均寿命は14・19歳。小型犬なら人間では70歳を超え、中型犬なら80歳前後とされる。

 同社は老犬介護の需要拡大を見込み、来年には大阪府の特別養護老人ホームなど2カ所に老犬介護施設を併設し、運営する。老犬介護士の通信教育も始める方針で、同ステーションに実習・訓練の機能を加える計画だ。

 飼い主の高齢化で亡くなった後に問題になるのが、ペットの引き継ぎだ。動物臨床医学会の調査(2013年)によると、ペットの飼育を放棄する年代は60代以上が全体の約56%を占めている。

 それらの保護動物を減らすために、司法書士や税理士らが協力して一般社団法人「わんむすび」(下京区)が10月に立ち上がった。飼い主の病気や死亡でペットの世話ができなくなった場合を想定し、ペットに関する相続や遺言、信託などの相談に専門家が応じる。

 同法人によると、ペットを誰にどう託すかを柔軟に決められる「家族信託制度」への関心が高いという。家族信託ではペットも信託で継承できる財産となる。遺産の一部をペットのためだけに使うことができるのも特徴で、第三者の専門家を起用すれば、遺産のペットへの使い方が適切かチェックできる。

 ペットの飼育に関する遺言などの相談もできる。初回相談は60分無料。石部大史代表理事(34)は「ペットのケアをめぐる家族問題や安易な処分は少なくない。飼い主が元気なうちに専門家が入って公的な対策をとることが大切だ」と話す。

 大阪北部地震では、飼いネコが飛び出して行方不明になった事例があり、独居の高齢者が亡くなった後、外で暮らすペットもいる。

 それらの保護ネコの里親探しのため、目片工務店(大津市)は、25日に大津市北大路の本社ビルで保護ネコの譲渡会を開く。

 同社は、ペットが住みやすい家にするペットリフォームも手がける。その縁から滋賀県の保護ネコボランティア団体と協力し、ペットリフォームの相談会とともに社会的活動として譲渡会を企画した。譲渡会は午前10時~午後3時。当日参加できる。

【 2018年11月24日 13時16分 】

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  • 老犬などを預かるシニアペットケアステーション。24時間体制でスタッフがケアする(京都市西京区)
  • ペット信託などの相談に乗る「わんむすび」のサイト(京都市下京区・わんむすび)
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