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ホテル激増の京都「料金下がった」「稼働落ちた」 同業者の嘆き

ホテル建設のクレーンが林立する京都市南区の東九条地域。JR京都駅に近いことから宿泊施設の進出が相次いでいる
ホテル建設のクレーンが林立する京都市南区の東九条地域。JR京都駅に近いことから宿泊施設の進出が相次いでいる

 京都市に立地する宿泊施設の客室が今後2年間で5万室を上回る見込みであることが、京都新聞社の試算で分かった。既存施設の関係者からは、宿泊客の獲得競争は既に激化しており、料金や稼働率が低下したとの声も聞かれる。中でも簡易宿所は、市の条例で「トラブル時の駆け付け対応」が義務づけられ、コスト増が見込まれることから、経営が厳しさを増すとの見方がある。

 「ホテルの宿泊料金が全体的に下がっていると感じる」

 南区で営業するホテルの担当者は、近隣の宿泊施設の市場動向をそう分析する。JR京都駅から近く、交通の便が良い同区ではホテルの進出が相次いでおり、本年度以降の客室増加数は市内の行政区別で下京区の次に多い。

 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、京都府内にある宿泊施設(シティーホテルやビジネスホテル、旅館、簡易宿所など)の2017年の客室稼働率は前年比2・4ポイント減の64・9%だった。訪日客の拡大で延べ宿泊者数は同7・2%増えただけに、客室の需給にゆとりが生まれつつあることをうかがわせる。

 ゲストハウスなど簡易宿所の経営者からは、より切実な声が聞かれる。市内で約50棟を営む会社の役員は「以前は全施設で稼働率が70%を超えていたが、現在は70%も稼働しない施設や、90%以上毎月稼働する施設など、施設によって差が出ている。昨年と比べて予約の入り方も遅くなり、近隣施設の単価も下がってきている」と漏らす。市内で営業する簡易宿所の客室数は14年度末の時点で2929室だったが、17年度末には9247室と3倍以上に増えており、「繁忙期以外は需要より供給が多い印象だ」という。

 とどまるところを知らないホテルの建設ラッシュに加え、簡易宿所にとってさらなる逆風となるのが、駆け付け要件の適用だ。市の旅館業適正化条例が改正されたことに伴い、近隣トラブルに備えて施設の半径800メートル以内に管理者を置くことが義務づけられる。既存事業者は20年3月まで適用が猶予されるが、経営の圧迫要因になることは必至だ。役員は「宿泊から手を引く事業者も出ており、売り物件も多く出回っている。特徴のある施設やサービスで差異化しないと淘汰(とうた)される」と危機感を強める。

 「お宿バブル」の影響は、過当競争にとどまらず、さまざまなひずみを生み出している。南区のホテル担当者は「(観光客の増加で)市内のインフラは既にパンク状態。ホテルが人々の生活や文化を壊していく側面もある。インバウンド(訪日客)誘致で日本人の観光客離れも出てきている」と警鐘を鳴らす。

【 2018年11月27日 20時50分 】

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