出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

町家「川崎家」解体、京都市が異例の警告「看過できない」

移築の計画が浮上している川崎家住宅。山鉾町の景観にも関わるだけに、地元関係者が懸念をしている(京都市中京区)
移築の計画が浮上している川崎家住宅。山鉾町の景観にも関わるだけに、地元関係者が懸念をしている(京都市中京区)

 祇園祭で山鉾が建つ京都市中心部にあり、解体・移築の計画が浮上している市指定文化財の京町家「川崎家住宅」(中京区新町通三条下ル)を巡り、京都市は1日、市の許可なく解体・移築しないよう所有者に警告を発した。「(文化財の)価値を滅失することがあれば、法的にも道義的にも看過できない深刻な事態」になると指摘。市指定文化財所有者への警告は、過去に例がないという。

 警告文は川崎家住宅について、洛中にある大規模な京町家で、祇園祭山鉾町の景観を構成する重要な要素として、「建物は地域と一体をなして継承されるべきもの」と強調。解体・移築は制度的に可能としても、市文化財保護条例に基づく手続きが不可欠で、市への届け出と許可がない現状では条例違反になると警告している。

 市は1日の記者会見で、「文化財は元来の場所で守って活用するのが大前提だ。移築はやむを得ない場合の手段で、それも市内での移築先の明示や価値を損ねない形の工事など、確実に建物を現状維持できる事業計画がないと認められない。条例違反の行為があれば、京都府警に告発する」としている。

 川崎家住宅は大正末期の室町の豪商、井上利助が建てた。洋間も備えた表塀付きの町家で、近代日本を代表する建築家の武田五一が設計に関わったとされる。戦後、市内で呉服製造卸を営む川崎家が購入、近年は和装などを紹介する施設「紫織庵」として活用していた。

 昨年に東京都内の業者が土地と建物を購入し、1月29日、市に解体する意向を伝えていた。

 この問題では、明倫学区自治連合会や祇園祭の八幡山保存会など地元関係者が、文化財の建物がなくなり、跡地が宿泊施設などになることを懸念し、現地保存を求める要望書を市に提出していた。

 京都市が所有者送付した警告文は「川崎家住宅を取得した時点で建物が京都市指定有形文化財であることは周知の事実であり、あなたはその保存・継承の義務を負うことについて認識されているはず。条例の定めに従わず、その価値を滅失することがあれば、法的にも道義的にも看過することができない深刻な事態となり、世界から注目されることが予想されます。万が一にも条例に反する行為がなされないよう、ここに強く警告する」などとしている。

 地元関係者は「町家は元来の立地や地域と一体で存在するからこそ、文化財的な価値がある。その価値を守ってゆくため、市は文化財保護条例の『公共のために適切に保存する』との趣旨にある通り、移築を認めず、現地での保存活用に向けた適切な措置を講じてほしい」と話している。

【 2019年02月01日 17時31分 】

ニュース写真

  • 移築の計画が浮上している川崎家住宅。山鉾町の景観にも関わるだけに、地元関係者が懸念をしている(京都市中京区)
京都新聞デジタル版のご案内

    地域のニュース

    全国のニュース