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被災地宮古に届けた醍醐の桜 児童の思いを本に

「屈託のない子どもならではの目線で震災をどう捉えているかを知って」と話す林さん(京都市中京区)=撮影・田村泰雅
「屈託のない子どもならではの目線で震災をどう捉えているかを知って」と話す林さん(京都市中京区)=撮影・田村泰雅

 京都市伏見区の醍醐小の児童たちが復興への願いを込め、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県宮古市の小学校に、醍醐寺のクローン桜を届けた活動を描いた本「宮古へ届けた醍醐の桜」が出版された。著者は当時、醍醐小の校長だった林明宏さん(62)=北区=。震災から8年。桜が紡いだ醍醐と宮古の交流の軌跡がつづられている。

 同小は2013年に醍醐寺境内でクローン培養されたシダレザクラの苗木2本を同寺から譲り受け、全児童が水やりなどに関わって1年間、大切に育てた。14年春に代表の児童4人が宮古市に向かい、このうち1本を津波被害の大きかった崎山小に植樹。もう1本を自校の校門前に植えた。両校が同じように世話し、観察日記を送り合うなど交流を重ねた。17年までの4年間で18人が宮古を訪れ、3小学校で植樹した。

 校長として引率した林さんは取り組みの記録を残そうと、定年退職を機に執筆。児童たちが津波の爪痕が残る沿岸部で語り部から被災の状況を聞き、初対面の現地の子たちと食事やゲームを通して打ち解ける様子などを、子どもの目線に合わせた柔らかな筆致で描いている。

 巻末の児童の感想文には「被災者の力強さやたくましさに触れてこちらが元気をもらった」など、訪問を通じて得た気づきや発見も記されている。

 現在は京都教育大教授を務める林さんは「宮古と交流することで、子どもたちが『震災の記憶を風化させない』という思いを持つことにつながった。被災地のことを知り、関心を持ってもらいたい」と話している。

 四六判、236ページ。税抜1500円。大垣書店刊。

【 2019年03月10日 18時24分 】

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