出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

福島第1原発事故の避難者「桃山東」退去 宿舎に惜別、感謝の輪

咲き始めた桜の下、避難生活を振り返る避難者と支援者(3月31日、京都市伏見区・国家公務員宿舎桃山東合同宿舎)
咲き始めた桜の下、避難生活を振り返る避難者と支援者(3月31日、京都市伏見区・国家公務員宿舎桃山東合同宿舎)

 東京電力福島第1原発事故で京都府内最大の避難者受け入れ先となった国家公務員宿舎桃山東合同宿舎(京都市伏見区)で、退去期限の3月末、支援団体や宿舎の自治会がお別れ会を相次いで開いた。ほとんどの避難者がすでに転居していたが、再び集まり、宿舎で結ばれた人の輪に感謝の思いを表した。

 「コミュニティーとつながれて、生きている実感が持てた」。福島県いわき市から妻子と避難してきた男性(50)がマイクを握り、2月まで過ごした宿舎での生活を振り返った。

 住み慣れた地域も仕事も失い、2年間ほどはふさぎ込んだ。春になれば散りゆく桜にわが身を重ねたが、宿舎の自治会役員になり、同じく避難者の住民と助け合う関係ができた。「前を向けるようになった。桜を見て、今はそう思える」

 避難者支援を続ける市民団体「うつくしま☆ふくしまin京都」が、31日に催したお別れ会。元住民の避難者がスピーチを続けた。子どもと福島県へ戻る女性は「何が正解か分からないが、考えた結果。正解だと信じている」。福島市から母子避難し、自治会長を務めた女性(46)は「ここに代わる場所で集まりたい」と願いを込めた。

 花が咲き始めた桜の下、参加者全員で記念撮影した。引っ越し作業中に顔を出す避難者もいて、転居先での暮らしや子どもたちの成長、東電と国へ損害賠償を求めた裁判などについて話し合った。

 参加した川﨑安弥子さん(52)=伏見区=は、子どもたちと茨城県北茨城市から自主避難した。地元では放射能の危険性への評価を巡って周囲から孤立した。宿舎への入居の決め手は、週1回開かれていた集いの場。気持ちを分かり合える人がいれば、と期待をかけた。

 「ここで孤独から逃れられた。ただ、いつまで入居できるのか延長の繰り返しで不安もあった。避難が長引く原発事故に特化した住宅保障の仕組みがいる」

 3月23日には、宿舎の集会室で本の貸し出しや季節の行事に取り組んだ「ももやま子ども文庫」のメンバーや自治会が集いを開いた。2歳で避難してきた西山真理子さん(10)は「友達のいなかった私にとって、文庫は天国だった」と感謝を込め、地域住民らへ花を贈った。

 府によると、宿舎にはピーク時で避難者95世帯が暮らした。無償提供の打ち切り後、転居への猶予期間が3月末までに設定されていた。

【 2019年04月06日 12時00分 】

ニュース写真

  • 咲き始めた桜の下、避難生活を振り返る避難者と支援者(3月31日、京都市伏見区・国家公務員宿舎桃山東合同宿舎)
  • 避難者の交流の場になればと、文庫活動が復活した合同宿舎の集会室。避難者たちが取り組みへ感謝の思いを伝えた(3月23日)
岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

    地域のニュース

    全国のニュース