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大久保利通の茶室、京都市が所有方針 市有地に移築し公開へ

京都市が所有管理する方針を示した茶室「有待庵」の内部(5月20日、同市上京区)
京都市が所有管理する方針を示した茶室「有待庵」の内部(5月20日、同市上京区)

 現存が確認された大久保利通の茶室「有待庵」(京都市上京区)について京都市は30日、茶室を実質的に所有管理し、歴史的な文化財として公開活用する方針を発表した。市は6月3日に茶室の解体工事を始め、所有者から主要部材を寄付で受け取り、市有地などへの移築を目指す。

 茶室は1866(慶応2)年から68(明治元)年まで大久保が使っていた旧邸跡にあり、薩長同盟が結ばれた小松帯刀(たてわき)の邸宅「御花畑(おはなばたけ)」から移築されたと伝わる。住宅の建て替え工事に際して敷地内で現存が確認され、所有者と市は主要部材の保存方針で一致。所有者が今月29日、市に建物と庭石の寄付を申し出ていたという。

 住宅の工事を6月3~9日に中断し市の負担で茶室の建物を解体、部材を運び出して一時保管する。移築先は検討中だが、市有地が候補となる。関連経費の寄付を募った上で再建し、展示や公開など活用方法を考える。市が所有・管理する文化財では明治時代の近代和風建築「旧三井家下鴨別邸」のほか、「岩倉具視幽棲(ゆうせい)旧宅」や山県有朋の別荘「無鄰菴(むりんあん)」(いずれも左京区)といった大久保と並ぶ明治元勲の関連施設がある。

 今月20日に市文化財保護課職員が現場を視察し、床柱や建具などに古材が使われ、幕末期の御花畑の茶室部材を再利用した歴史的価値の高い建物と判断。市の関与は民間同士の受け渡しの仲介にとどめる考えもあったが、民間所有のままでは将来的な売却・解体の可能性が消えず、行政による保存を望む所有者の意向も踏まえ、市による所有と管理運営を選んだとみられる。

 市文化財保護課は「移築先や活用は広く市民や国民に親しまれる方法を検討したい。寄付を募りつつ、数年のうちの移築再建を目指したい」としている。

 所有者の女性(69)は「多くの人に見てもらえるよう保存に動いていただき、とてもうれしい」と喜び、大久保のひ孫となる利泰(としひろ)さん(84)は「京都市の英断に深く感謝したい」と話した。

【 2019年05月30日 20時56分 】

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