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専門学校など募集停止、低い給与… 介護の人材不足深刻

京都府が初めて開いた介護職員になるための「入門的研修」で、椅子を使って介護に役立つ体の仕組みを学ぶ参加者(亀岡市・ガレリアかめおか)
京都府が初めて開いた介護職員になるための「入門的研修」で、椅子を使って介護に役立つ体の仕組みを学ぶ参加者(亀岡市・ガレリアかめおか)

 急速に高齢化が進む中、福祉現場で介護の人材不足が深刻になっている。志望者の減少を受け、京都府内では介護福祉士を養成する大学や専門学校が相次いで学生募集を停止し、人材難に拍車をかけている。参院選(21日投開票)では各政党が公約に介護職員の待遇改善を掲げているが、担い手の確保は待ったなしの課題だ。

 「介護を大学で専門的に学んだ新卒が雇いにくくなった。介護を学んでいないと、現場で一から教えなければならず負担が重い」と、京都市内のある介護事業所の施設長は明かす。

 府内では、介護福祉士の養成コースを設ける大学や専門学校は2013年度に8校あったが、京都女子大(東山区)や花園大(中京区)など3校が募集停止し、現在は5校に減った。

 京都保育福祉専門学院(西京区)も14年度の入学生を最後に、介護福祉科(定員40人)の募集をやめた。国が認定した養成施設の学生は従来、卒業と同時に資格を取得できたが、17年度の卒業生から取得には国家試験や実務経験が必要となり、志望者数は年々減っていた。同校の担当者は「学生にとって介護業界で働く将来像が見えにくいのでは」と嘆く。

 厚生労働省は団塊の世代が全員75歳以上になる25年度末までに、全国で55万人の人材確保が必要と試算する。09年度から、介護サービスを提供する事業者が受け取る報酬を加算することで、段階的な賃上げを実施してきた。職員1人当たりの給与は月額平均5万7千円上昇したが、平均給与(賞与込み)は月27万4千円で、全産業平均の月36万6千円には10万円近くの差がある。

 介護現場の実情に詳しい佛教大の新井康友准教授(社会福祉学)は「かつて介護は主婦の家事の延長と思われていた。偏見が今も残っているのでは」と介護に対する社会の認識を課題に挙げる。近年はたんの吸引など医療的なケアも求められる中、「介護職の専門性を社会で認めていくことが大切だ」と強調する。

 人材確保に向け、未経験の中高年を現場に呼び込む取り組みも始まっている。京都府は本年度から制度や介助方法を学ぶ「入門的研修」を始め、6月に亀岡市内で開いた初回には30人が参加した。向日市の無職女性(41)は「介護は定年がなく長く続けられそう。人と接するのも魅力」と意欲を見せる。21時間の研修を全て受けた人には、資格を得るための研修の一部が免除される。府福祉人材・研修センターの山崎正則所長(56)は「幅広い人材に介護の道に進んでもらいたい」と語る。

 政府は19年度からの5年間で、在留資格「特定技能」を取得した外国人労働者を最大6万人、介護分野で受け入れるとしている。だが、ベトナムやミャンマーなど送り出し国の経済が発展する中、どこまで受け入れが進むかは不透明で、国内の介護人材へのニーズは依然として高い。

【 2019年07月19日 19時32分 】

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