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社説:【参院選】きょう投票 「良識の府」の意義を問う

 「良識の府」の再興につながるだろうか、はなはだ心もとない。参院選がきょう投開票を迎える。

 共同通信社の終盤情勢調査では、今回の参院選に関心のある人は68・3%で、公示直後から4・4ポイント伸びたものの、2016年参院選時の72・2%を下回り、関心の低さをうかがわせる。

 投票率のさらなる低下が心配だ。特に若者である。選挙権年齢が引き下げられて3回目の国政選挙となるが、投票率は落ちてきている。

 「若者よ選挙に行くな!」。高齢の男女がそう呼びかける動画が話題になった。

 「年金が破綻する? 関係ないわ。だって私はもらえてるもん」―などと挑発する異例の内容だ。きれいごとではなく若者に投票を促す狙いというが、効果のほどは分からない。

 「衆院のカーボンコピー」ともやゆされる参院の存在意義が改めて問われている。

 「カーボンコピー」と言っても若い人にはピンとこないかもしれない。カーボン紙によって複写された文書のことだ。比喩として「創意工夫の感じられない引き写し」などを指す。

 それほど古くから言われ続けてきた問題ということだ。

 衆院選に小選挙区制が導入され、政権交代が起きた。参院では野党が多数派となり、緊張感を生んだ時期もあった。

 一方で、衆院との「ねじれ」から「決められない政治」が問題視されることもあった。

 前々回の13年参院選でねじれが解消されてからは、「安倍一強」のもとでコピー化は以前にも増し、衆院との同質化が進んでいる。

 今こそ参院の役割が問い直されるべきだ。それなのに今回の選挙では論戦になっていない。

 00年に当時の斎藤十朗参院議長の私的諮問機関が、参院改革の意見書をまとめた。

 参院は「衆院の抑制、均衡、補完の機能を発揮すべきだ」とし、政権や政党と一定距離を置くように提言。参院の首相指名制廃止や参院議員の閣僚就任を自粛することなど、踏み込んだ改革を打ち出した。

 議員個人中心の活動を活性化させるため党議拘束を見直し、本会議質疑も会派単位から個人中心にするよう提唱した。定数を150~200程度へ大幅削減することも求めた。

 だが提言は生かされてない。安倍政権の長期化で国政に緊張感が失われ、国会審議の形骸化ははなはだしい。

 ちょうど1年前の「1票の格差」是正問題では数の力を借りた採決強行で、定数を6増やし、比例代表に「特定枠」を導入する自民党提出の改正公選法が成立した。

 改革どころか、党利党略そのものだった。

 野党5党派は参院選前に、行政監視院を設置する法案を提出したが、国会こそが最強の行政監視機関のはずではないか。

 参院の危機は民主主義の危機である。政党任せではなく、有権者一人一人が、改めてそのことに思いを致したい。

 「選挙に行くな!」ではもちろん済まないはずだ。

【 2019年07月21日 12時21分 】

岸田繁 交響曲第一番・第二番 連続演奏会 2019.10.5

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