2020年に低迷したライフサイエンス業界のM&A、2021年は一転して活況か?

EYは『EY M&A Firepower』レポート最新号(2021年度版)の日本語版を公開したことをお知らせします。Firepower(ファイヤーパワー)とは、企業のM&A実行力を貸借対照表の健全性に基づいて測定したEY独自の指標であり、本調査レポートを毎年発行しています。最新号である2021年版レポートでは「パンデミックによってライフサイエンス業界のM&Aはどのように変わったか」と題して、バイオ製薬企業、医療機器企業それぞれについてEYの見解を集約しました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は、言うまでもなく日本の医療システムにも影響しました。時限的措置とはいえオンライン診療が解禁されるなど、ヘルスエコシステムは進化しつつあります。今後もこの潮流は続くとみられることから、ライフサイエンス企業は遠隔医療を前提としてビジネスモデルを変革していくことが求められます。

本レポートの概要は以下の通りです。
▸2020年のライフサイエンス企業のM&A取引額は1590億米ドルに減少
▸バイオ製薬企業が使用したファイヤーパワーはわずか12%
▸医療機器企業のM&Aは拡大する成長ギャップにけん引され、診断とオンライン診療/治療に焦点

本レポートでは、2020年のライフサイエンス企業のM&A(合併・買収)取引額は1,590億米ドルと、2019年の3,060億米ドルから減少し、2014年以降でほぼ最低の水準となりました。もともと低調が予想された2020年でしたが、パンデミックの影響でデューデリジェンスや商談をオンラインで行わなければならないという問題に加え、ターゲットとなるバイオ製薬企業および医療機器企業の評価額の高止まりを受け、買収意欲のある多くの企業が様子見の姿勢をとりました。

2020年はマーケットのボラティリティにもかかわらず、ライフサイエンス企業の期末時のファイヤーパワーは記録的な水準に達しました。バイオ製薬企業が2020年に使用したファイヤーパワーは2019年の20%から低下し、わずか12%でした。一方、医療機器企業のファイヤーパワーは2020年に41%拡大し、史上最高に達したものの、使用率は2019年の10%に比し7%にとどまりました。

EY Global Health Sciences and Wellness Strategy and TransactionsリーダーのPeter Behnerは次のように述べています。
「ライフサイエンス企業のM&A活動は回復し始めていますが、2019年の高水準には届かないでしょう。しかし、2021年がM&A活況の年となることを示唆する複数の要因があります。バイオ製薬企業にとっては、商業的な複雑さを軽減する必要性が高まる中、特にがん治療や免疫療法など細分化された疾患領域に注力することが、M&Aを推進する重要な長期的要因となっています。また、潤沢な流動性およびプライベート・エクイティの買い手の存在が、事業売却や疾患領域の深化の機会を生み出しています。パンデミックに起因する臨床試験の遅れや売り上げ減少の状況によっては、成長ギャップがM&Aを急がせる新たな要因となる可能性もあります」

こうした傾向は、ライフサイエンス企業のM&Aが2020年下半期に上向いたのに続き、2021年も活況となることを示唆しています。バイオ製薬企業は金融リスクを軽減する比較的小規模の買収やパートナーシップに注力するとみられる一方、医療機器企業はより積極的に買収に資金を投じ、拡大している成長ギャップ(企業の収益成長と業界全体の売り上げ拡大とのギャップ)を縮小することになりそうです。

本レポートの詳細は以下よりご覧ください。
日本語版:パンデミックによってライフサイエンス業界のM&Aはどのように変わったか
https://www.ey.com/ja_jp/life-sciences/how-the-pandemic-has-changed-the-rules-for-life-sciences-deals 

英語版:How the pandemic has changed the rules for life sciences deals
https://www.ey.com/en_jp/life-sciences/how-the-pandemic-has-changed-the-rules-for-life-sciences-deals 

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