「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによるイチオシ作品をご紹介します。
6月のオススメはこちら!

さよならフロリダ、さよなら人類。
超低体温SF青春ムービー。
郊外映画という独特なジャンルは、過去から現在に至るまで、若者たちの閉塞や夢みがちで生意気な世界にマッチしてきました。『グーニーズ』や『ヴァージン・スーサイズ』、『フロリダ・プロジェクト』、そして大人気作となったドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス』など、挙げるとキリがありません。
とくにアメリカ映画における郊外映画は、その土地に行ったことがない観客も閉塞と寂寞の心象風景として郊外の景色を思い浮かべることができます。
今回紹介する『ボーイズ・ゴー・トゥ・ジュピター』も、そんな郊外映画の系譜に繋がりつつ、現在地点の若者たちの日常を描きます。カルト的な人気をもつ「ART SQOOL」を手がけたゲームクリエイター、ジュリアン・グランダー監督の長編デビュー作は、ボーイ・ミーツ・ガールならぬボーイ・ミーツ・エイリアン。今年一番のユニークな作品となりました。

舞台は年の瀬の空気が漂うフロリダの郊外です。高校を中退したばかりのビリー・5000は、友人たちが万引きをしたり、ラップに夢中になったりするなか、配達仕事に奮闘中。
配達アプリのバグを利用して、新年までに5000ドルを稼いで人生を立て直そうとしています。
ある日、配達で向かった先は、ハイブリッド品種の開発に夢中なジュース王、ドクター・ドルフィン率いる“ドルフィン果樹園”。そこには、内部崩壊を企む娘ローズバッドも働いていました。さらに、ビリーは奇妙なエイリアン“ドーナツ”に懐かれて…。
まったく奇妙で斬新なアニメーション。まるで楽しい夢を見た日の朝のようにふわふわと漂う作品です。しかし、ポップでキッチュな作風とは裏腹に、ビリーや少年たちはどこか暗いユーモアを醸し出し、かつて輝いていたアメリカン・ドリームは平坦で無意味なものになっていることに気づかされます。
配達員の仕事をするビリーは、つねに使い捨てられる存在であることを意味し、それはビリーのあだ名“人間計算機”が表す彼の優秀な頭脳とは関係ありません。そんな“駒”としての社会からビリーは脱出することができるのでしょうか。
どこか懐かしさがありながら、現代の憂鬱と、新しい希望を描くラストは、ぜひ劇場でご覧ください。

執筆:川添結生(京都シネマ)
6月5日(金)公開
『ボーイズ・ゴー・トゥ・ジュピター』
(原題)BOYS GO TO JUPITER
2025/米/87分
監督・脚本・製作・音楽:ジュリアン・グランダー
声の出演:ジャック・コルベット、エルシー・フィッシャー、タヴィ・ジェヴィンソン
提供:キングレコード
配給:boid、コピアポア・フィルム
©Glanderco, LLC.
【上映スケジュール】
上映時間などの詳細は京都シネマ公式ホームページにてご確認下さい。

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