京都市京セラ美術館で開催の「⻄洋絵画400年の旅ー珠⽟の東京富⼠美術館コレクションの展示構成を紹介します。


Ⅰ.絵画の「ジャンル」と「ランク付け」
西洋絵画では、ルネサンスから19世紀前半まで、絵画の価値は「ジャンル」によって格付けされていました。最も格が高いのは神話や聖書の物語を描いた「歴史画」、次に肖像画、風俗画、風景画、静物画の順で格付けされ、この序列の背景には、キリスト教的価値観やルネサンスの人間中心主義が関係していました。

ノエル=二コラ・コワペル《ヴィーナスの誕生》1732年頃

なかでも特殊なのは17世紀のオランダで、共和制かつ偶像崇拝を禁止するプロテスタントを国教としていたため、美術作品の需要は裕福な市民階級の中に高まり、特に風俗画や静物画が絶大な人気を博しました。

コルネリス・ファン・スペンドンク《花と果物のある静物》1804年
カナレット(ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)《ヴェネツィア、サン・マルコ広場》1732-33年頃

Ⅱ.激動の近現代―「決まり事」の無い世界
第Ⅱ部では、産業革命と市民革命によって誕生した近代社会における絵画を紹介します。18~19世紀のフランス美術界では、古典主義を重んじるアカデミズムが支配的であり、サロンへの入選が画家の成功に不可欠でした。しかし、革命や産業化を経て既存の価値観が揺らぎ、感情や個性を重視する新たな美の価値観が生まれ、美術は伝統よりも独創性を求めるものへと変化していきます。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《赤い服の女》1892年頃 
モーリス・ユトリロ《モンマルトル、ノルヴァン通り》 1916年頃

印象派など独自の展覧会を開く動きが広がり、さらに、中産階級の台頭により風俗画や風景画の需要が増え、歴史画の優位性も失われ、ジャンルの序列が解消されていきました。

クロード・モネ《睡蓮》1908年
ルネ・マグリット《観念》1966年