京都市京セラ美術館で開催の「テート美術館|YBA&BEYOND-世界を変えた90s英国アート」のYBA&テート美術館について紹介します。
■「YBA」とは
1988年8月、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで学んでいたダミアン・ハーストは、ロンドン東部の倉庫街で学生や卒業生の作品を発表する展覧会「フリーズ」展を企画しました。ハーストや同世代の作家たちは、全く新しい視点で素材を選び、制作し、発表の機会を積極的に開拓していったのです。1992年に『アート・フォーラム』誌上で美術史家のマイケル・コリスは彼らを「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼び、サーチ・ギャラリーで開催された同名の展覧会によりYBAという言葉は一般に広がっていきました。YBAの作家たちの自由な活動によって、90年代の英国のアートシーンは世界的な注目を集めるようになったのです。
■テート美術館とは
テート美術館は、英国を代表する国立美術館のひとつであり、英国政府が所有する1500年以降の英国美術、および世界各地の近現代美術のコレクションを収集・保存・公開しています。国内には4つの美術館を展開しており、その第一の拠点であるテート・ブリテンは、ロンドンのミルバンクに位置し、1897年の開館以来、英国美術のナショナル・コレクションの本拠地となっています。最大規模を誇るテート・モダンは、ロンドン中心部のテムズ川沿いにある旧発電所を再利用し、2000年に開館しました。近現代美術を専門とする美術館としては、世界で最も多くの来館者を誇る施設です。
■テート美術館のキュレーターコメント
・グレゴール・ミューア Gregor Muir
”テート美術館にとって初めての「90年代の英国美術」を振り返る展覧会を、東京と京都の名高い美術館で開幕できることを、大変光栄に思います。1990年代の英国は、政治・経済・文化の面で大きな変革を経験した時代でした。そうした社会状況のなかで、多くのアーティストたちが新たな表現や探求に挑戦していきました。来場者の皆さまにとって、本展が、変化に富む英国社会の中で生まれた作品や作家の精神の神髄に触れる機会になればと願っています。変化の著しい現代においてもなお、この時代の芸術は重要な意味を持ち続けています。”
■プロフィール
グレゴール・ミューアは、テート美術館のコレクション部門ディレクター兼キュレーターとして、英国のみならず国際的な視野で同館のコレクションの発展を牽引しています。これまで、テート美術館をはじめ、ICA(ロンドン)、ハウザー&ワース、そして自身が1997年に設立したLUXギャラリーなどで活動し、現代美術における国際的な貢献を果たし、重要な役割を担ってきました。1990年代初頭から中盤にかけては、ジェイク&ディノス・チャップマン、ケリス・ウィン・エヴァンス、ゲイリー・ヒューム、サム・テイラー=ウッドらを取り上げる先駆的なビデオプログラムやグループ展を数多く企画しました。
・ヘレン・リトル Heren Litlle
”1990年代において英国のアートシーンと深いつながりを持っていた日本で本展を開催できることを、大変うれしく思います。展覧会の企画を進める中で、多くのアーティストが日本で作品を発表したり、日本から創作のインスピレーションを得たりするなど、両国の間に数多くのつながりがあることを改めて確認することができました。英国の歴史の一時代を従来の美術史的な枠組みを越えて掘り下げ、英国各地で展開されたアーティストたちの活動とその成果を一つの物語として描き出すことは、とても意義深く充実した経験でした。来場者の皆さまにも、地域間のつながりや、変革と創造に満ちたあの時代の空気を感じ取っていただけたら幸いです。”
■プロフィール
ヘレン・リトルは、20世紀および現代の英国美術を専門とし、現在はテート・ブリテンの現代美術部門のキュレーターを務め、また、テート美術館の国際プログラムにも積極的に関与しています。これまでターナー賞展をはじめ、1980年代の英国における写真表現を総覧する展覧会など、批評家から高い評価を得た企画を多数手がけてきました。また、デイヴィッド・ホックニーやクリス・オフィリといった世界的アーティストの大規模な回顧展も企画・監修するなど、英国美術界において重要な役割を果たしています。キュレーターとしての活動に加え、近現代の英国美術に関する書籍や展覧会カタログの編集・執筆にも取り組んでおり、美術史的な研究と実践を架橋(かきょう)する活動を展開しています。