「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによるイチオシ作品をご紹介します。
10月のオススメはこちら!

 

前代未聞!ニワトリから見た人間社会を描いたヒューマンドラマ。
 今回紹介するのは、『雌鶏』です。監督を務めたパールフィ・ジョルジ監督は、独創性と奇想天外な映像センスが評価され、国内外の映画祭で数々の賞を受賞してきた“ハンガリー映画界の鬼才”。なんとこの映画、エクストリームなメンドリが主役です!もちろんメンドリにセリフはありません。危険なシーンを除きCGIや特殊効果も使わず、「ニワトリは3歩歩けば忘れる」という俗説を鮮やかに覆す演技を披露します。スタントアクションを担う鳥、クローズアップに対応できる鳥など、8羽のメンドリが役割を分担し、スタントも感情的な場面も熱演しています。メンドリの視点から、人間社会の不条理さや滑稽さを痛烈に浮かび上がらせる、大胆で他に類を見ない一本です。

 
 

 養鶏場で生まれ育ったメンドリは、出荷用トラックから脱走し、人生で初めての自由を手に入れます。しかし、野生で生きるのは大変!ほかの動物たちに狙われ、命の危機にさらされたところで、大きな犬に助けられます。犬に連れられてたどり着いたのは、ワケあり一家が暮らす家。庭に建つニワトリ小屋で新生活を送る中、初恋を知り、初めて産んだ卵を温め育てようと決意します。ところが、毎朝、卵は人間に回収されてしまう。我が子がヒヨコになる日を夢見て前に進もうとする彼女には、思いがけない運命が待ち受けていて……。

 
 

 映画は、ロードムービーで幕を開け、見知らぬ世界に放り出されるアドベンチャー、危険の中を生き抜くサバイバル、初めての恋を知るラブストーリー、そして卵を守ろうとするサスペンスフルなドラマへと展開していきます。まさに映画の醍醐味が詰まった一作です。映画はもともとセリフがなくても物語や感情を伝えることを模索してきたメディアでした。メンドリの冒険は、どことなくサイレント映画にも似ています。視線とアクションという映画ならではの表現によって、一切言葉を発しないメンドリのとっぴな冒険に、私たちはいつしか感情移入してしまうのです。そして、彼女が直面する出来事は、人間社会で起こっている難民問題とも重なります。弱者と強者の対比を鮮明にし、欲望や偏見、差別といった人間社会の歪みをも照らし出します。コメディと悲劇が絶妙に交差した、奇想天外な動物映画となっているのです。

 

執筆:川添結生(京都シネマ)


 

10月2日(金)公開
雌鶏

(原題)『Kota』
2025|ギリシャ、他|96分
監督:パールフィ・ジョルジ
脚本:ゾフィア・ルットカイ
出演:雌鳥(エスティ、サンディ、フェリ、エンチ、エティ、エニクー、ノーラ、アネット)、
   ヤニス・コキアスメノス
©2025 Pallas Film-Twenty Twenty Vision-View Master Films-ZDF

映画配給会社ハーク『雌鶏』公式HP
https://www.hark3.com/mendori/

映画配給会社ハーク公式チャンネル/Youtube

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【上映スケジュール】
上映時間などの詳細は京都シネマ公式ホームページにてご確認下さい。

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