特別展「良寛さん―その人と禅―」をより楽しむためのコラムを連載します。
第1弾は細見美術館主任学芸員の伊藤京子氏により「良寛さんの書を愉しむ」です。
細見美術館の展覧会というと、伊藤若冲や琳派といった絵画の展覧会を思い浮かべる方も多いかもしれません。そんな当館で今、良寛さんに焦点をあてた「書」の展覧会を開催しています。
良寛さん(1758~1831)は、日本海に面した越後・出雲崎の名主の家に生まれました。当館でもおなじみの伊藤若冲(1716~1800)より、少し後の時代に生きた人物です。若冲と同じく家を継ぐ立場にありながらも家を離れ、禅僧として独自の生き方を貫きました。その生きざまや子どもたちと無心に遊んだ人柄は、世俗を離れて画業に没頭した若冲と重なるものがあります。
ともに「禅」の精神を根底に持ちながら、若冲が生きとし生けるものを「絵」に表したのに対し、良寛さんはその豊かな思いを「ことば」や「書」に託しています。京都と越後、絵師と禅僧という違いはあっても、それぞれの作品からは身近なものに向けられた温かなまなざしが伝わってきます。
良寛さんはさまざまな書体を学んでいますが、ときには子どもの描いた絵のように、素直おおらかな字も残しています。書にあまりなじみのない方は、「字を読み解こう」と構えすぎず、良寛さんの人柄がにじみでた書を“絵を鑑賞するように眺めてみて”はいかがですか?
そうして作品と向き合ってみると、良寛さんの温もりや魅力が、いっそう身近に感じられるはずです。
(細見美術館 主任学芸員 伊藤京子)
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特別展「良寛さん―その人と禅―」 問い合わせ|細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町) |