特別展「良寛さん―その人と禅―」をより楽しむためのコラムを連載します。
第2弾は新古美術商・万葉洞の関谷博之氏による「良寛に魅せられた人々」です。
良寛はなぜこんなにも人々に愛され続けてきたのか、不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。寺に属さず、生涯を乞食僧(こじきそう)として貫き、民衆との交わりの中で暮らした良寛。高僧として崇められた訳ではないので、時と共に忘れ去られても不思議ではありません。
良寛の遺した作品や人柄に大いに魅力があったのはもちろんですが、時代ごとに再評価してきた人々がいたからこそ忘れられずに来たのでしょう。そんな先人たちのことばから、良寛の魅力に迫ってみましょう。
陶芸家・北大路魯山人は、随筆の中で「良寛様の書は質からいっても、外貌からいっても、実にまれに見るすばらしい良能の美書であって、珍しくも、正しい嘘のない姿である」と絶賛しています。また、良寛の遺墨も所有し、自らの作品作りに活かしました。
随筆家で骨董の目利きでもあった白洲正子は、「若い頃良寛の書がほしくて、ずい分探したことがある。(中略)ある時《天上大風》の書に出会って、釘づけになってしまった。以来、良寛を探すことはふっつりあきらめた」と言っています。最上のものが手に入らないなら他のものはいらないという、いかにも白洲正子らしい割り切り方です。
陶芸家・陶磁研究者の小山冨士夫は、随筆集『骨董百話』の中で「良寛の書は純粋で自由である。あたたかくやわらかくわれわれの心をなごやかにしてくれる」と評しています。良寛最晩年の遺偈(ゆいげ)とも言える《草庵雪夜作》は、小山冨士夫が最も心動かされた作品です。
今回ご紹介した作品は、本展覧会にも出品されています。先人たちが魅せられた良寛作品を、会場でご鑑賞いただければ幸いです。
(万葉洞 関谷博之)
|
特別展「良寛さん―その人と禅―」 問い合わせ|細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町) |