昭和の「キャバレー王」として知られる福富太郎(ふくとみたろう 1931~2018年)は、1964年の東京オリンピック開催による好景気を背景に、全国各地に44 店舗ものキャバレー(舞台のショーを見たり、会話を楽しみながら飲食をおこなう娯楽施設)を展開した実業家です。時代の波に乗り事業を成功させる一方、父親の影響で少年期から美術に興味を持っていた福富は、やがて鏑木清方(かぶらききよかた)作品との出逢いをきっかけに、美術品の収集に熱中していきます。
コレクターの福富は、その作品が有名な作家の手によるものかどうかということではなく、たとえば梶田半古(かじたはんこ)や渡辺省亭(わたなべせいてい)、富岡永洗(とみおかえいせん)、鰭崎英朋(ひれざきえいほう)や小村雪岱(こむらせったい)など、当時一般にはあまり知られていない作家のものであっても、自身の眼で見て、良質であると信じた作品はコレクションに加えました。
またコレクションに関連する資料や情報を熱心に集めて理解を深め、美術に関する文筆活動など、積極的な情報発信にも取り組みました。結果として、長らく埋もれていた作家が再評価される際や、ひとつの時代の特色について考察をおこなう展覧会において、福富が収集した作品の重要性が注目されるようになりました。
本展は、独自の信念のもと作品を追い求めた福富太郎の審美眼に焦点をあて、他に類を見ないコレクションの全体像を提示する貴重な機会となります。生前の福富と深い交遊があった山下裕二氏(美術史家、明治学院大学教授)を監修に迎え、福富が惚れ込んだ鏑木清方の10 数点に及ぶ優品のほか、多彩な顔ぶれの画家による女性像、明治時代から第二次世界大戦を経て昭和40 年代までの間に描かれた油彩画の数々など、魅力的な絵画作品80 余点をご紹介いたします。
企画展「コレクター福富太郎の眼-昭和のキャバレー王が愛した絵画-」
開催期間
2026年07月03日(金) ~ 2026年08月30日(日)
時間
午前9時30分~午後5時 (入場は午後4時30分まで)
休館日
毎週月曜日(ただし、7月20 日(月・祝)は開館)、7月21 日(火)
料金
一般|1200(1000)円
高校生・大学生|800(600)円
小学生・中学生|600(450)円
※( )内は20 名以上の団体料金
※企画展のチケットで展示室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可
※未就学児は無料
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳などをお持ちの方とその介助者は無料
お問い合わせ
滋賀県立美術館
TEL=077-543-2111
主催/後援など
主催|滋賀県立美術館、京都新聞
特別協力|福富太郎コレクション資料室
監修|山下裕二(美術史家、明治学院大学教授)
企画協力|株式会社アートワン
担当|山口真有香(滋賀県立美術館 主任学芸員)
・小さなお子さんがいる、障害があるなど、何らかの理由で来館を迷っている方へ
滋賀県立美術館では、展示室でもしーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごしていただけます。また、目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートや展示解説をご希望される場合や、その他、ご来館にあたっての不安をあらかじめお伝えいただいた際には、事前の情報提供や当日のサポートのご希望に、可能な範囲で対応します。
・図録紹介
展覧会の開催に合わせ制作されたオリジナル図録。約20 センチ四方のコンパクトなサイズに、会場に展示されている絵画や手紙などの資料の図版、各章の解説、ならびに作家解説、作品解説などがすべて掲載されています。合わせて、本展監修者の山下裕二氏(美術史家、明治学院大学教授)が生前の福富氏との交流の思い出や福富コレクションの特徴について述べた論考のほか、6 編のコラムも収録された充実の1 冊です。
仕様:A4 変形判、全226 頁、カラー印刷 販売価格(予定):2,600 円(税込)