細見美術館で開催の特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」の見どころを紹介します。
志村ふくみは、紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、随筆家としても知られる染色作家。2025年秋に101歳を迎えた現在も、美しいものを手に取りながら穏やかな日々を過ごし、自然や色彩への深いまなざしを持ち続けています。
本展では『源氏物語』や「紫」、そして作家、石牟礼道子原作の新作能『沖宮(おきのみや)』の能装束など近年の特徴的なテーマを中心に、作品と紡がれた言葉とによって70年にわたる表現の軌跡をたどり、色彩、生命、自然への尽きることのない思索と未来へ語り継ぐ言葉を紹介します。
また本展を機に構想・制作された作品2領は初公開となります。
第1章 源氏物語の世界
源氏物語から生まれた色と着物
染織家・志村ふくみは、70代半ばから源氏物語をテーマにした連作を手がけてきた。作品のタイトルは各帖からとられ、物語から感じる香りや響き、言葉では言い表せない情感を、美しい色と織りで表現している。滋賀県立美術館の所蔵作品を含む代表作12点に加え、本展のために制作された新作《朧月夜》と《夢の浮橋》を初公開。
第2章 沖宮(おきのみや)の世界
新作能『沖宮』の世界
作家・石牟礼道子が遺した新作能「沖宮」で使われる装束6 領全てを展示。「沖宮」は、島原の乱の後の天草が舞台。干ばつに苦しむ村のため龍神への人柱になる少女あやを、戦に散った天草四郎がいのちのみなもと「沖宮」に導く死と再生の物語である。緋色を追求し、紅花で染めた主人公あやの舞衣《紅扇》と、天草四郎の小袖《Francesco》は関西初公開。
第3章 志村ふくみの世界
小さな布が織りなす「裂(きれ)」の宇宙
志村ふくみは、長年織ってきた着物の残り布や小さな端切れを愛おしく思い、大切に保管してきた。80代に入り、これらの布を使った新たなコラージュ作品を生み出していく。高村光太郎の詩に感動して筆をとり、小裂で飾った作品《五月のウナ電》や着物の雛形、裂帖などを展示し、その豊かな創造の世界を紹介。